ブタブタ

Dillinger è morto(原題)のブタブタのレビュー・感想・評価

Dillinger è morto(原題)(1969年製作の映画)
3.5
邦題『デリンジャーは死んだ』
或いは『政治と革命の季節の、きのう何食べた?』
アテネ・フランセ文化センター「中原昌也への白紙委任状」で上映されたもののこのコロナ禍で当然行けず。
しかしYouTubeに全編上がっており台詞も殆どない為問題なし。
主人公グラウコはガスマスク・デザイナー(何でお洒落な職業だろう)若い美人妻と之また若い美人メイドの三人暮らし。
冒頭、ガスマスク・デザイン製造の仕事場での「もしあらゆる人々がマスクをつけることを強制される社会が到来したら」は少なくともボランティア秘密警察によって日本では実現してるよー(笑)と教えてあげたい。
1968年の「激動の時代」「世界同時革命」と1969年の伊でグラウコがデザインするガスマスクの仮面が並ぶ光景は、革命の行き着く先としての「核戦争」や「起きなかった第三次世界大戦」を幻視させる。
しかし内容は全くもって意味不明。
帰宅したグラウコは、頭痛で寝入ってる奥さんは遊んでくれないので一人台所で料理に勤しむ。
すると「錆びた拳銃(デリンジャー)」を発見し、分解しオリーブ油で洗浄し磨いて組み直して草間彌生の様な赤地に白の水玉で塗装して「水玉デリンジャー」を完成させる。
後はメイドのベッドに潜り込んだり(このメイドは明らかに妻公認の愛人だと思う)映写機の映像を見たり寝てる奥さんにイタズラしたりひとり遊びに興じる。
この辺り何でもかんでも現在進行形の日本、withコロナやステイホームを予言してたとか関連付ける必要はないと思うけど、休みを貰ったは良いけど家族の誰にも相手にされず何もする事がなく只管どうでもいい遊びに興じる中年男性に見えなくもない。
映写機は今だったらNetflixかYouTubeだろう。
結末も意味不明。
朝が来てグラウコは会社に向かわず海へ。
そこでビキニ美少女をキャプテンとする謎の1団の帆船に拾われコックとして雇われタヒチへと旅立つ。
室内に絶えず流れるTV、ラジオ、テープのノイズ、政治や革命の季節といったファスビンダー『第三世代』とも共通するテーマを感じるけど正直ボンクラには難解過ぎる。
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