ヒチ

Dillinger è morto(原題)のヒチのレビュー・感想・評価

Dillinger è morto(原題)(1969年製作の映画)
4.3
主人公は料理や音楽、過去の旅行の映像を鑑賞するなど日常を謳歌してるように見えるがその姿にはどこか虚無感が伴う。たぶん彼の行動は家でほとんどの欲望を満たすことができてしまう時代の退屈さと、それに伴うコミュニケーションの不和やメディアとの距離感の喪失を表しているのだろう。そして冒頭のマスクの話は画一化された現代人の生活の象徴なんだと思う。銃を持ち歩くのは死を意識することで生の実感を得たいがためなのか、それとも死ぬことすらも娯楽の一環になっているからなのか。

最後、タヒチ行きの船に乗るくだりでそれまで意味ありげに作り上げられていた諸々のシーンがすべて無意味化されていくのが凄い。
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