Eike

トッツィーのEikeのレビュー・感想・評価

トッツィー(1982年製作の映画)
3.8
MeToo時代を経た現在ならまた違ったアプローチになりそう…。

監督のシドニー・ポラックと言えば70s〜90s年代の頭にかけて活躍したアメリカの「職人監督」の代表格の一人。
いろんなジャンルの作品を送り出して来た分、正直言って当たり外れがあるのだが本作は「大当たり」。

まずダスティン・ホフマンの女装というのが意表をついてますが、本作の面白さは結局のところお話が良くできていることに尽きます。
ホフマン氏演じる売れない俳優、マイケルが女装で挑んだオーディションに合格してしまい、あれよあれよという間に昼メロのスター「女優」になってしまうってのはいささか調子が良すぎる話ではあります。
しかし初めて役者として正当な評価を受けたと言う充足感から本当のことを言えずに苦しむ姿は可笑しいと同時に切なくもあり、演じているのがダスティン・ホフマンなだけに絶妙な説得力があります。

「女優ドロシー」と親友になるドラマの共演女優ジュリー(ジェシカ・ラング)にマイケルが恋してしまい一人二役で恋と友情の板ばさみになって笑わせる辺りはさすがにダスティン・ホフマンの独壇場といったところ。
思いもかけず女性の視点で世界を見る羽目になった男性の困惑や意識変化もさりげなく描かれていて好感をもてます。

ちかごろのコメディに比べると上品でおとなし過ぎると見る向きもあるかもしれませんが「大人のコメディ」としては上出来でしょう。
ただ笑わせるのではなく、じっくりと楽しませてくれること請け合いですね。
この本格映画としての雰囲気がちゃんと出ているのは主演のホフマン氏だけでなく脇を固める演技陣のキャラが生かされているからだろう。
ビル・マレー、ダブニー・コールマン、チャールズ・ダーニング(大好きだ)、テリー・ガーにジーナ・デービスまで出てたんだから。
こういう「ちゃんとした」シチュエーション・コメディも中々見なくなったなぁ。
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