すし酢高跳び

トッツィーのすし酢高跳びのレビュー・感想・評価

トッツィー(1982年製作の映画)
4.1
1982年の作品。
私の中では『カラーパープル』同様、映画がミュージカルになってる繋がりという事で、鑑賞しました。

遠い昔、コメディとして観た記憶はあるけれど、全く覚えてなくて。なんならLGBTQ系の作品かと思っていたら、全然違いましたわ。
これ、男尊女卑のメッセージもあって、性差別でいけばカラーパープルとも繋がるし、#Me Too運動の先駆けとも言うべき、風刺映画でした。

ドーシー(ダスティン・ホフマン)は俳優の傍、若い役者に演技指導もする、熱血俳優。ですが、そのこだわりが故に、使う側からは煙たがられていました。自分の演技には自信があるけれど、中々仕事に結び付かず、ルームメイトのジェフ(なんとビル・マーレイ!)に愚痴っていた。

そんな時、演技を指導していた中の1人であるサンディがオーディションで落ちた役に、突如として女装して行く事にしたドーシーは、ドロシー・ミッシェルとして熱演。
辛辣な発言と演技が、プロデューサーに気に入られて、まさかのオーディション合格。その番組というのは昼メロで病院が舞台。看護師役のジュリー(ジェシカ・ラング)に惹かれる。

まぁ、中身は男性ですからね。でもジュリーからしたら、事務長役のおばさま女優なんで。ドーシーよ、恋心を抱いてもダメだぞ。

この辺から、色々とコメディ要素は出てきます。ジュリーからプロデューサーからのセクハラまがいのお付き合いについて相談されたり、ジュリーのパパからまさかのアプローチとか。
私から見ても、ダスティンホフマンの女装は裏声もさる事ながら、中々お綺麗なんですよね。勘違いされても仕方ないかも笑

実はジュリーには娘がいるのですが、シングルマザーとして役を捨てるわけには行かず、嫌々プロデューサーと付き合っているのでした。

なんだかこの背景、弱みのある女性に迫って、自分の欲求を満たそうとするプロデューサーって、聞いた事ある!そう、『SHE SAID』っぽいのです。けど、こんな頃から業界の闇ってあったんですね。

男性だと仕事がない、けど女装して女性に扮したら途端に大人気!しかもトッツィー(可愛い子ちゃん)と言われ、ドラマの役は人気が出て、ドロシーは雑誌や取材に大忙しになります。

仕事はどんどん増えて、エージェントのジョージ(監督のシドニーポラックが演じてる)も大喜び。ところが、ジュリーへの気持ちが抑えきれなくなっていくドーシー。

さぁ、女優として生きる事にして仕事を取るのか、はたまた本来の男性として一から始めてジュリーに気持ちを伝えるのか?

マイケルがドロシーを通して、人間としても成長したからこその、ラストなんですよ。
これまたカラーパープル同様、80年代に今と通じるテーマを扱っていました。更にはやはりそのメッセージ性から、ミュージカルとして復活しているのも同じ。

映画には音楽的な要素はあまり見られないので、ミュージカルとして楽曲が新たに制作されているかと思います。日本版は山崎育三郎さん主演なので、チャンスがあれば観てみたいですね!
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