けーすけ

あのこは貴族のけーすけのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
3.4
華子(門脇麦)は東京生まれ東京育ち、実家の渋谷区松濤暮らしという箱入り娘。「結婚=幸せ」という観念にとらわれていたが、イケメン男子かつ華子よりも上流階級の幸一郎(高良健吾)と出会って婚約し、結婚をする。

片や、美紀(水原希子)は富山の田舎で必死に勉強をして慶應大学に進学するも、実家からの仕送りも厳しくなり夜の仕事で学費を賄おうとするが、あえなく中退。その後はこれといった夢も目標もなくダラダラと過ごしてきた。そして大学での同級生だった幸一郎とは“都合のいい関係”がダラダラと。



そんな分断されていた世界で生きてきた華子と美紀が幸一郎をきっかけとして出会う、というのが最初のヤマ場。思わせぶりな演出だったので「お!バチボコくるかー?」と期待したのですが、ものすごくあっさり。

あらゆるものに恵まれて育ち生きてきた華子と、一般家庭で生まれ育った美紀との邂逅がどのような展開を見せるのか、といった流れです。


出会った二人が仲良くなって、ケンカしたりあれこれあっての友情物語、、、ではなく、それぞれの生き方や生活の変化を描いているので、ドロドロしたものを期待していると肩透かしを食らうと思います。



正直、僕自身は華子のようなお嬢様や幸一郎といった良家の人(最近で言うなら上級国民、か…)とは縁が無いので、どちらかというと美紀の生き方に共感を覚えました。

大学内でも中学高校と内部から進学してきた上流の存在や、美紀のように必死こいて勉強してなんとか入学できた者という学内格差まで描かれており、「これ実際に体験した人が見たら悶絶するのでは」と感じた部分。

大学の友人たち(上流階層)とカフェに行って、お茶とお菓子のセットで4,000円超という価格に顔が死ぬ美紀が面白くも「実際あるあるだろうな」と。



結婚は目標であったとしても、それがゴールではないし必ずしも幸せになれるとも限らない。
地方から上京してきて、理想とは程遠い生き方になって都会の養分として漫然と生きていく日々。
住む世界は違っても悩みは我々と共通な部分もあったりで、そんな人達に「もっと自由に生きてもいいんだよ」と背中をそっと押してもらえたような気がします。

20代後半から30代の女性にはグっとくる部分が多いんじゃないかなー、と思った描写や演出が多々ある映画でした。





華子役の門脇麦、嫌味もなく所作や衣装がちゃんとお嬢様っぽい雰囲気で、とても役柄に合っておりました。

美紀を演じた水原希子。田舎出身ていう設定だけど、やはりモデル感あってキレイすぎる。笑
でも実家に帰ってジャージ着たりする姿には「あ~、こういう姉ちゃんいそう」でした。

ノーマークだったのですが、美紀の友人・平田里英を演じた山下リオがとても良かった。自転車二人乗りのシーンがあるのですが、本作の白眉かと。

良家のお坊ちゃま、青木幸一郎役の高良健吾。最初「こんなイケメンで良家育ちだと?裏に何かあるに違いない」と見立てていたのですが、超優秀男子。美紀との関係や、上流民ゆえのズレた部分も多少演出されてましたが、こんな男性いたら結婚して間違いナシですぜ。ただし、劇中でも本人が言ってますが雨男。超絶な雨男。雨男っぷりに注目してみてください。笑



2021/02/26(金) T・ジョイPRINCE 品川 シアター8 10:40回にて鑑賞。H-12
[2021-023]
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