馮美梅

あのこは貴族の馮美梅のレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
3.8
代々医者の家系に生まれた主人公・華子。女性は良い家柄に嫁ぐ事が幸せだと家族も学友たちも口々に言うからそんなものかと思い周囲に流されて行く。

富山の町工場をする両親の元、自分のしたい事も家の事情でうまく行かず、折角東京の大学に合格して入学できても、学友たちとは全く住む世界が違うことに戸惑うもう1人の主人公・美紀。

美紀は家族のために夢を諦めながらも、それでも新たに自分らしく生きるために色んなことを経験しながら世間のスキルを積んでいく。

一方華子はある男性とお見合いをして結婚をする。しかし、これが本当に自分が望んでいたことなのか?少しずつ何か違和感を感じ始め、自分という人間は一体何をしたいのか?人の言葉に流されることが本当の自分のしたい事なのか?悩む。

2人の女性にはそれぞれ、彼女たちを支えてくれる友人が傍にいてくれた。普通なら交わることのない華子と美紀、しかしあることで2人が繋がり、お互いいろんな気持ちを錯綜させながら刺激を受けながら、1人の女性として自分らしく生きて行こうとする姿が最終的には清々しく描かれている作品です。

興味深かったのは、それぞれ大学時代、違う場所でアフタヌーンティーを楽しむシーン。華子は子供時代から育っている友人たちと何のためらいもなく、アフタヌーンティーを楽しみながら女性の幸せとはなんてこと話している一方、美紀は幼馴染の里英と戸惑いながらもなんとか皆に馴染もうとアフタヌーンティーに参加するんだけど、高価なアフタヌーンティーを何も考えずに楽しむ人たちを見ながら場違いな自分たちに複雑な気持ちでいる対比がお見事だなと思いました。

まぁ、華子みたいな受け身な女性が今の世にどんだけいるのかわからないし、若干最後はご都合主義な感じがしないでもなかったけど、自分らしく生きる事女性のしたたかさを感じられそして、爽やかな余韻に浸れる作品だったかなと思います。
馮美梅

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