グラノーラ夜盗虫

あのこは貴族のグラノーラ夜盗虫のレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.0
信頼できる映画好きの女友達が軒並みお勧めしていた作品、やっとみることができた。

男女間や階級間、都市と地方の断絶や軋轢より、世代間のそれを扱っている映画だと思った。旧世代の価値観を持つ親世代とそれを受け入れた同世代から画一的な生き方を押し付けられる”呪い”、そしてその呪いから解き放たれるまでの過程が描かれていた。高良健吾の役は本来であれば悪役になりそうなものだが、彼もこの構造の被害者としてヒロインたちと同様フラットに描かれていた点がそれを物語っている。

登場人物に明確に語らせていたように女性同士を無闇に対立させない構造や、(婚約者の浮気、離婚など)ドラマティックな出来事をドラマとして消費せず、淡々と語る様子、物語の解決や救世主役に男性ではなく女性を配置するところが、日本映画・ドラマのストーリーテリングの典型的なあり方に一石を投じていたと思う。

私は東京のミドルクラス出身で、また幸運にも家族に特に生き方を押し付けられず育つことができたため、(映画体験を左右するであろう)共感・共鳴の度合いは決して高くなかったが、この映画の価値を踏まえて、高評価をつけたい。