パンケーキとペンギン

あのこは貴族のパンケーキとペンギンのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.2
美紀に共感する人が多いのだろうけど、私もその一人。
特に自転車二人乗りのシーンが好きすぎた。内幸町周辺の無機質なビジネス街の様子と無邪気な友情の対比が切なくて温かくて素敵だと思った。

一方の華子はとんでもない上流階級のお嬢様だ。同じ東京にいながら別の世界を見ているふたりがひょんなことから出会うところが面白かった。

美紀が言っていた「地元では親の人生をトレースしてる人ばかり。あなた(華子)の世界も似てるよね」っていう台詞を聞いて、たしかに!と思った。田舎は窮屈だけど、上流階級だって窮屈なのだ。美紀には狭い世界を飛び出せる強さがあって、華子はそんな彼女に感銘を受けた。帰り道、美紀に借りたビニール傘をさして、タクシーを使わず自分の足で歩こうとしたのは、心を新たにしたことの表れなんだろうな。
どこに生まれても、どんな階級にいても、それぞれに悩みや辛さがあるということが伝わった。