全日本人必見の名作!
「パラサイト」的な下層から上層への怒りではなく、フラットな視点で淡々と階層の違う人々を描いていく。階層の違いからくる、噛み合わない会話、違和感などがクスッと笑えたり、考えさせられる。階級の違いを理解するのは難しいが、生き方は選べるし、みんな違ってみんないいんだ!ってなる。
○テーマ
・この現代の日本で生きるための幸せとは→現代社会の幸せの定義
・階層の違い
・自己選択
・階級移動ではなく、思考移動
・分断ではなく、相互扶助
○ストーリー
笑顔が少ない、固いお人形さんみたいな女の子が、笑顔を取り戻す話
操り人形から脱却
○階層の違い
・それぞれ違って、それぞれいいスタンス
・パラサイトやジョーカーの下層から上層への激しい怒りはない
・会話が合わない(金銭感覚、趣味→経験値、価値観)
・住居地域の区分
・普段歩く景色しか知らない→タクシー/自転車/徒歩
・内部性と外部性
→ここまで丁寧に描いた格差社会映画はない
★階層の違うもの同士→ズレを感じたり、つながったり
同じもの同士→同調したり、つながったり
違うもの同士の方が惹かれる場合ある→違う価値観、生き方に魅了される→光を照らしてくれる
○「パラサイト」との違い
パラサイト:下層から上層への寄生からの怒りによる悲劇
あのこは貴族:上層とか下層ではなく、生き方の相互承認→選択と意思、自己優先
○最高なセリフ
・「映画やドラマにならない文化ってあるのよ」→上層の情報は漏れにくい
・「そっちの世界とうちの地元って似てるね」→親の世界のトレース
・「いい日もあれば悪い日もある」
・「その日何があったか話せるだけで十分じゃない? そういう人って案外出会えないから」
・「みんなの憧れで作られていく幻の東京」
近視眼的、視野狭窄に注意
→ロングショット、自己優先、相談できる相手
○過程を楽しむ
「トマトを育てたい」→「買ったらいいじゃん」
価値観の違い
○セット
計算尽くされた位置配置
→パラサイト的
階層の違い
→自転車と車、高低差による視線交差
○物色シーン
華子が美紀の人生エネルギーを感じて感動する
自分のものって感じがしない
→楽しくない
→見栄、虚勢、自慢
→空虚でストレスが溜まる
「全部美紀さんのものだから」
主体的に自分が選んできた人生⇄レールにのって他者の期待に沿う人生(後継、しきたり、風習)
美紀さんの顔はイラついたようにも見える→中退、搾取されてきた
→華子はそこの苦労は知らない
○階層間の恋愛映画
ターザン、アラジン、美女と野獣、シンデレラ→ディズニー映画の王道
<感想>
いい悪い、正解不正解ではなく、貴族側と庶務側をフラットな視点で描く。あとは、見る人の好みに任せますというスタンスが、非常に好感を持てた。最近の日本映画やドラマでいいなっと感じるのは、監督、脚本が女性であることが多いな〜。
キャストの演技、演出、セット、シーン、テンション、全てにおいて高クオリティ。
日本映画の傑作です。大人しくも最高すぎるラストに、胸が詰まります!