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あのこは貴族のよのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
3.8
登場人物が心に刺さるセリフをバシッと決めてて、それが好き。
・世の中は女を分断するような言葉が溢れてる
・階層の違う人とは出会わないようになってる
・みんなの幻想で作られた東京
・どこで生きてても最高の日もあるしそうじゃない日もある、それを共有できる人がいる幸せ

一方で、地方から実力でのし上がってきた組vs都心に生まれてレールを歩んだ慶應内部生、の構図、最近よくよく見るなと思う。前者が後者に出会った時の衝撃がよほど甚大ということか。実際に中にいるとそこまで敗北感を感じている人をあまり見たことがなく、むしろ外野がその構図を見て地方組が可哀想・勝ち目ないとセンセーショナルに言っているのではないかなという印象。

もう一つは地方出身実力主義慶應生vs都心生まれ成城?成蹊?(勝手に推測)お嬢様、の構図。お嬢様側に何の選民意識もない感じ、すごくリアリティがあった。地方出身者が東京に幻想を抱き、東京で足掻いて消耗させられている、と感じているのに対して、都心お嬢様にはただの日常である、という対比がアイロニック。

華子たちのいわゆるミレニアム世代は「“育ち”だけで食っていける・幸せになれる」最後の世代なんだと感じさせられる。(または既にその時代はとうに終わっているのかも)
女性も外に生きがいを求めるようになった今、たとえどんな家柄であっても昔のように結婚をゴールにしていては幸せには生きられないのだと感じさせられる。

幸一郎と華子はきっともっと分かり合えたんだと思う。ラストシーンでお互いの見え方が少し変わっている感じが良かった。
よ