フジマークス

あのこは貴族のフジマークスのネタバレレビュー・内容・結末

あのこは貴族(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

生まれの違いによって住む世界が違うということを物凄く意識させられる語り。そして生まれた環境との磁力を受けないように、そこから遠く離れることで自由を手に入れる。
橋で手を振るシーンで、切り返しショットが格差を繋ぐ、結びつける。主人公は高貴な世界から、喜びと悲しみを伴う労働の世界に降りていく。
『かぐや姫』は労働の世界を愛したが月へ帰ってしまった。この映画では、主人公は自分の居たい世界を見つけられたのかもしれない。
「この世界には、つながっていない全く違う世界がいくつもある」というニュアンスのセリフが『perfect days』にあったことを思い出す。役所浩司が演じる男は、トイレ清掃員をしており、この映画の主人公が最初に居た世界とは正反対だった。『perfect days』の主人公も、身内はお金持ちだったので、なんらかの紆余曲折があったのだと思える。
この映画は、貴族生まれの女性の、庶民からすれば特異な生活を覗き見る映画のように見えて、映画全体としての語りは『perfect days』と通ずるところがあるように思える。
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