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あのこは貴族のワのネタバレレビュー・内容・結末

あのこは貴族(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「割れずにずっと生き残ってくし。なんかそんな食器ってない?」「…あぁ。うん…」

このやり取りに、この映画の全て詰まってる気がする。

屈指のお金持ちが住む松濤に生まれ、全てを持っている華子は言わずもがな貴族。でも、悠々自適に思ったところに身軽に羽ばたく美紀もまた貴族だった。

華子は恵まれた環境も大切にしてもらえる家族も容姿も持っていたけれど、美紀のワンルームに所狭しと並んだ美紀が自分の手で掴んできたものと比べたら、華子が生まれながらに持っているものなんて、跡取りを産み、家を続けていくだけの「義務」だと気付いたんじゃないだろうか。

逆に美紀は大学を中退した時、経済的に不安定な実家を呪っただろうし、鬱屈として「街から出ないで親の人生をトレースして生きる」人ばかりの故郷なんて捨て去りたいものの一つだっただろう。

お金があれば、こんな家に生まれなければって思うことの連続でわたしは美妃にシンパシーを感じまくってたんだけど、生まれながらにして何もかも持っていて、逆に言えば家を存続させる失敗は許されないという使命も持って生まれてくるというのも庶民には想像できない葛藤や苦労があるのだろう。これは生まれにコンプレックスがある人にガン刺さりする映画だと思います。

田舎の同窓会、独身アラサー女2人のアンダーヘア脱毛の話、解像度が高すぎる。心理描写が繊細で、言葉は多くないのに分かりやすく、これは原作でどう綴られているのかとても気になる。

2024年39本目
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