キットカットガール

犬の生活のキットカットガールのレビュー・感想・評価

犬の生活(2014年製作の映画)
3.6
 一見平面的な世界。そこに奥行きが存在する奇妙さ。人間と同様に犬にも二面性あり、人間にも犬のような一面があった。一面というのはその人の知らない面という意味で、数え出したらキリがない。家の外に飛び出す事、つまり世界を知る事で自分の抱いていた常識が簡単に覆されて、事物は常に多面的で様々な解釈が可能な事、自分が見ているのはあくまでもその中の一面である事、ただの目撃にすぎないと気付く。二足歩行の犬、四足歩行の人間、本来なら支配従属関係に当たる犬と人間だが、大した違いなんてないのかもしれない。暮らしを生きているのか、暮らしに生かされているのか、いつの間にか支配される身となった人間の虚しさを痛烈に表現していて面白い。シンプルにスマートに纏められているが、メッセージは強烈で心を忽ち焦がされた。横へ横へと世界が広がっていく演出にも非常にcleverな印象を受けた。