踊る猫

リフ・ラフの踊る猫のレビュー・感想・評価

リフ・ラフ(1991年製作の映画)
3.7
粗いな、というのが率直な感想だ。撮り方に置いて芸がないというか、愚直過ぎるというか。マーガレット・サッチャー政権下の労働者のリアルと、そこから抜け出そうとする男女の恋愛を描くケン・ローチの語り口は、単調な日常をドキュメンタリー・タッチで映し出すことに腐心しており、悪く言えばドラマ性に欠けるきらいがある。ただただ口汚い言葉が飛び交う肉体労働の現場と男女の(セックス抜きの)日常を描くだけで、盛り上がりがないのだ。まあ、それが「リアル」だろうと言われればそれまでなのだけれど。ただ、あざといところがない点は好感が持てる。ケン・ローチ、真面目な人なんだろうなという印象を受ける。あとは脚本家に恵まれれば光るタイプの監督なのだろうと思う。私自身もまた「リフ・ラフ」の一員なので、彼らの生活に自分自身の生活を重ね合わせて、居たたまれない気持ちになってしまった。
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