菩薩

リフ・ラフの菩薩のレビュー・感想・評価

リフ・ラフ(1991年製作の映画)
3.6
社会のど底辺でリフ・ラフに生きるネズミ男達の生き様。何故そうまで底抜けに明るいのかと言えば、底が抜けたところで既にそこは底なのよ〜んと言う開き直りの悲哀、もう笑うしかないってもんで。彼等は食堂に巣食うネズミを踏みつけにするが、彼等だって社会から踏みつけにされている。ネズミは金が無くたってどんどん子供をこさえて増殖していくが、人間は金がなきゃプロポーズにも首を縦に振れないし、当然子供なんて作れない。関係ないけど少子化対策と雇用の安定はセットで考えないとね、頼みますよ大臣そこんところ。民営化されて放置されたポロアパートの不法占拠、お金が無いから誕生ケーキは生クリーム無しのスポンジケーキ、待遇改善要求は即解雇、死んだって骨壺にも墓にも金はかかるしで結局散骨、これぞ労働者階級のリアリズムってとこか。マーガレットちゃんのボロクソ悪口から入る辺りがめちゃくちゃケン・ローチ(笑)だし、ラストの「怒り」への振り方がド派手で良いのだが、結局それはそれで自分達の首を更に締める事になるのだろうと考えるとやるせなさが募る。誰一人として夢は叶わず、リフ・ラフはリフ・ラフらしく散り散りになっていく。にしたって彼女が本当に歌下手過ぎて…そりゃダメだろよ…。メンタル的には優しめのケン・ローチ作品、けど本当にネズミ踏んでるっぽいからちょっとアレかな…。
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