clydebarrow

イングリッシュ・ペイシェントのclydebarrowのレビュー・感想・評価

4.1
公開時に観たが、再び。
当時は若すぎてよくわからなかったけれど、この年になって漸く理解できた。

時代の渦に巻き込まれた男と女の、最後の鮮烈な恋の物語。
主人公が、地図(遺跡の)を作る現場で運命の人に出会い、地図に翻弄され、地図を使って窮地を脱して彼女の元に帰ろうとするという展開は、とても象徴的だ。
地図上に示された架空の線・国境を隔てて互いに対峙し、殺し合うのが戦争で、それゆえ最後のキャサリンの言葉がいっそうの輝きを放つ。上級の反戦映画だと思う。

「愛する人がみんな死んでしまう」と語るハナが、彼と修道院に残ることにしたのは、遠からず死ぬ運命の彼と静かな時間を過ごすことに安らぎを求めたりからではないだろうか。ラスト、そんな彼女が少しだけ希望を見出したかの様なショットがとても良かった。

そして、映像と音楽が素晴らしい。映画館でもう一度観たいな。

この頃のアカデミー賞は、観客と業界に媚びていない。
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