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日本沈没のアイのレビュー・感想・評価

日本沈没(2006年製作の映画)
2.7
役者・草なぎ剛が素晴らしかった。主役なのに静かな、前に出ない芝居をしているのが好感もてるし、表情に心打たれました。台詞ではなく表情で泣かされる。小松左京先生も、小野寺役は草なぎ君がいいと推していたようですが、仕上がった作品に先生も満足したのでは?と思います。

映画は原作とは内容が異なります。原作を下敷きにした新しい「日本沈没」です。なので原作ファンの中には、こんなの違う~!とガッカリされる方もいると思いますが、現代で制作するならこういう改変はアリだと思うのです。原作のままでは、ちょっと古臭くなってしまうので。

草なぎ剛以外の役者陣もすごく良かったです。豊川悦司、柴咲コウ、及川光博、大地真央…。個人的に下町のもんじゃ屋「ひょっとこ」に集う面々に人間の強さを感じました。吉田日出子、大倉孝二…避難所でも酒を飲んだりして、絶望しつつも明るい皆さんに感動しました。実際、日本沈没のような事態になって、海外へ避難ができず、沈みゆく日本に残されてしまったら、私もきっと突き抜けてしまう気がする。あまりの事態に悲観するのを忘れて、いつもどおりマイペースにやってそう。事態が大き過ぎて、わけがわからないから開き直るというか。とても共感できました。大規模な自然災害が増え、首都圏にも大きな地震が起きると予想されています。平和で何事もない日常がどれほど大切か、生きることの意味を改めて考えさせられる映画でした。
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