このレビューはネタバレを含みます
なんとか上映終了ギリギリで鑑賞。
いやあ、すごい。
どういう感情で観ればいいのかわからなくなるほどに詰め込まれた喜劇と悲劇のバランス。
みんなが憧れるソウルにマイホームを購入する課長、だけれどローンは果てしなく続き家は欠陥住宅であり、場所もソウルのはずれの高級とは縁遠そうな土地。
いろんな仕事を掛け持ちするスーパーお仕事マンのような隣人、だけれど息子からは避けられ家庭崩壊。
ソウルに家を持つ生活を維持するため、幼い息子を家に残しほぼ働き尽くめのシングルマザー。
正社員との待遇格差に悲嘆するインターン。
みな一見平穏な毎日を過ごしているようで、一様に事情を抱えていることで生まれるストーリーの奥深さ。
しかし、その奥深さを全力で台無しにしてゆく勢いでナンセンスギャグやコメディタッチなやりとりがお見舞いされる。
わかった、そういう感じでいくんだな、真面目に不真面目なテイストなんだな、頭からっぽにして観とけばいいんだな。と思いきやビックリするぐらい容赦のない悲劇が起きたりもする。
そして、その悲劇のショックを咀嚼しきれないうちに、物語はウルトラバカな方法とノリで一気に解決へと向かうのだ。
いやあ、すごい。この脚本はすごい。
「生きて会えたらこれからはずっと一緒にいる」と泣きながら悔やんでいた母に用意されたラストがおまけのシーンみたいな遺髪受け取りだけって、書いた人は人の心を持たないサイコパスなのかな。
そしてとどめのエンディング主題歌。
情緒をめちゃくちゃにされながらも、豪快なサバイバルコメディを観たという満足感も得られてしまうポジティブソング。
飲み込めない。 飲み込みきれないって、こんなの。
韓国映画おそるべし、と改めて思いました。