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レフト ー恐怖物件ーのおでいのレビュー・感想・評価

レフト ー恐怖物件ー(2020年製作の映画)
2.8
妄想、謎の存在、悪魔、霊現象、見知らぬ影、謎のメッセージ、家族の破綻、主人公を苦しめる過去の懺悔、子供の失踪、謎の言葉を残す街の住人、悪夢、不思議な家。
とにかくホラーやサスペンスのアイコンとなる要素を詰め込みすぎて散らかってしまった印象です。
そしてその一つ一つの回収も雑なので、せっかくのラストシーンの謎解きも消化不良になってしまいます。

映画を前に進めるためには動機を作るのが必須で、この映画でも娘と2人になるための動機として妻を出ていかせる事となります。
これがまた雑で、携帯2つ持ってるよね、浮気してるよね、相手は誰々だよね、はいサヨナラ。
時間の都合ですごくシンプルにまとめられすぎだし、子どもがいる家族で、慣れない土地、そんな簡単じゃないでしょという思いの方が強く感じられました。
ここはせめて一悶着あって、じゃあ出ていくって止めつつも奥さんから出ていくようなシナリオの方が良かったんじゃないかなと。
前半、雰囲気作りたいのか、ものすごくコトが動き始めるまでの思わせぶりシーンが多いし、夫婦のラブシーンあったり、正直、娘との関係見たら夫婦仲は想像できるし、このあたりもっとシンプルにして動機となるシーンに時間を割くべきかなと思いました。

家がおかしいと気付くシーンも、三角定規あてて、長さ測って、家の外の長さより家の中の方が広い!という前フリしておきながら、もうそれは放置になって先に先に進むので、だからそれなんなのみたいな消化不良が残ってしまう。

それを、この家は昔からそうなんだよ。みたいなセリフだけで片付けようとして、結局、作りて側も不穏な仕掛けを用意しながら理由が思いつかないまま誤魔化したんだろうなと勘ぐる感じになってしまいました。

1番?となったのがラストシーン。
妻がなんの反省の顔もせずに帰ってくるという。
途中の留守電入れたのもなんのためのシーンだったんでしょう。
せめて、妻が留守電確認して慌てて帰ってきてというシーンはいるのでは?
車に子どもを乗せるのも妻が自然と受け入れすぎで、まるでここで起こったことを知っていたかのよう。
ちょっとこのあたり雑だなぁと思いました。

謎解きの伏線回収は、本来は面白い展開だと思うんです。
アレもコレも、こういう事が起こっていて、なるほどという消化はしていけるはずなんですが、あと一歩足らないかなと。
それもやっぱり要素を詰め込みすぎたのが原因だと思います。

結果、この映画が最後に示すのが、これが悪魔的なものなのか、本人の心の呪縛なのかが不明な点。
なんか、この家がそうだから出れないんですというのはちょっと。
いや、警察行けよって突っ込み入れた人は多いんじゃないかな。

もし主人公が警察に自首して家の呪縛が解けるものの、またあの家が新たな住人を呼び寄せるみたいなストーリーならまだスッキリできたかなと感じました。