marimo

劇場版 アーヤと魔女のmarimoのレビュー・感想・評価

劇場版 アーヤと魔女(2020年製作の映画)
2.5
なんか、物語が動き始めたところで唐突に終わってしまう
なんたる消化不良

もうCGの不気味さには何も言いますまい
…いや、ダメだ
ちょっとCGの造形キツすぎたぞ

ジブリに対する忖度と言いますか、
無理矢理に「悪くはない」と補正する度に
いやいや、ダメだろこれって自己訂正する感じ

普通にテレビアニメみたいなオープニング
それもそのはず、先にテレビで放送されてるので

100万歩譲って
これが、土日の午前中に放送されてる低予算の子供向けCGアニメだとすれば
アリだと思います

ただジブリ最新作で劇場公開作品としたときに果たしてどうなのか?
Blu-rayの円盤だって他のジブリ作品と同価格です

えっ?正気か?

ってなります

もうエンディングの絵のタッチでいいじゃん
分かってますよ、宮崎駿が「君たちはどう生きるか」でアニメーター独占しちゃって
吾朗さんは僕たちはどう作るかになっちゃって検討した結果、3DCGでって事になったんでしょうよ

1000万歩譲って
3DCGにしたことで手書きにはないアニメーションの気持ちよさが生まれればいいのですが
旧世代な3DCGアニメの域を出ないレベル

3DCGが故に表情が可愛くない
3DCGが故にテヘペロが可愛くない

ここ最近サボり気味だった”不気味の谷”さんがめちゃくちゃ仕事してます
久々の谷案件に肩ぶん回してます

いやいや、映像はイマイチでもさ
脚本が面白くて物語にどっぷり浸かれれば…ああ全然面白くない

そもそも
冒頭の立ち上げから少し嫌な雑さがあったんですよね

冒頭メモと共にアーヤが孤児院に預けられるところから始まるのですが
メモには名前は”アヤツル”って書いてあるんですね
で、孤児院の方が”アヤツル”なんて”操る”みたいで変だわ
“アーヤ・ツール”にします

みたいなことを言うんですが

まあ、小説とかであればこれでもいいんですが
映像作品だとメモが英語表記で書かれてるんですよね

英語なんですよ

“操る”…この孤児院の方は日本語にも精通した方ってことなんですかね…

ええ、分かってますよ
名前のくだりは翻訳本の時点でこの通りなんですよね

でもね、なんか余計なノイズが凄いのよ

メモの文章を映像上は見せないとかやりようはあった気がするんですけどね

原作の主人公の名前が”EARWIG”です
EARWIGというのは「ハサミムシ」を意味するそうです
まあなんとか日本語に当てはめて翻訳したんでしょうけど

人名って変更しちゃダメなのよ、舞台を日本に変更するとかならともかく
舞台を変えずに名前だけ変更、さらにそこに日本語での意味も持たせてしまう
これはダメです

まあ些細な事です

このアーヤちゃんがどうも共感も愛着も持てないキャラクターで
名前の由来通り、人を操ることに長けたキャラクターという設定なので
実際に孤児院でも大人、子供ともに手玉にとって悠々自適な生活をしてるわけです

引き取られた先では、なかなか自分の思い通りにならない事もあるのですが
そんな状況を通してもアーヤが成長するわけでもなく
結局、引き取られた魔法使いの家でも大人たちを”アヤツル”って流れで
悠々自適なんですよ

最後にお母さんが家を訪ねてくるところで、これはもしや悠々自適ガールの”アヤツル”が唯一効かないお母様がラスボス?と少し期待したのですが、なんと物語はそこでお終いなわけです
(これ、一体どういう話なんや…)

エピソード0とするには長編映画の尺を使ってやるような内容ではないし
う〜ん…

自分の素質を活かせばどのような環境でも快適に過ごせるよ!って事なのか…いや、マジでわからん

後々、調べると本当に原作なぞった展開で原作もこれ以上でもこれ以下でもないっぽいです
(かといって、じゃあ原作を読んでみようかなと思えるほどの熱量はないので、このお話はこれでお終い)

あれです
「君たちはどう生きるか」の制作費にお布施したんだぞっていう気持ちで観るのが正解です

全然お話とは別件ですが
なんでアーヤのお母さんがカタコトなのか?
設定上、人種的な側面で必要なことなのかなと思ったら特になさそう
声優さんがシェリナ・ムナフさんというインドネシアの方なので、カタコトは仕方ないと思うのですが…いやだから、なんでこのキャスティング?
ちょっと必然性が分からなくて
正直、鑑賞時のノイズだったりします
marimo

marimo