けーはち

劇場版 アーヤと魔女のけーはちのレビュー・感想・評価

劇場版 アーヤと魔女(2020年製作の映画)
3.2
3DCGはディズニー・ピクサーよりは2Dセル画寄りで平面的に造形し、表情変化などは随所に漫画的誇張表現を混ぜて(びっくりしたり怒ったりした時は目を三白眼にするなど)豊かにしようとしている習作といった感がある。魔女の養子に貰われてコキ使われても使い魔や主人を籠絡して自分の思い通りに操る痛快でしたたかな主人公アーヤをはじめとしたキャラクターは魅力的だが、話はブツ切りで終わる。「ハウルの動く城」の原作者の遺稿で未完の原作を忠実な形で映像化したので元より高い完成度の到達は望むべくもない一片のオマージュだと捉えれば言い訳が立つ。宮崎吾朗監督は本業の建築でジブリ美術館やジブリパークなどを手がけておりアニメに血道を上げる意味もないので、長嶋茂雄に対する一茂のように偉大な父の威光をちらつかせつつ足りなさを愛らしさに変換し、本作のアーヤのごとく色んな人をうまく操ってしたたかに肩肘張らず頑張ってほしい。