喜連川風連

本気のしるし 劇場版の喜連川風連のレビュー・感想・評価

本気のしるし 劇場版(2020年製作の映画)
4.7
見終わった後、完全にやられてしまって劇場のロビーに立ちすくんでしまった。

自分の極小な脳味噌では魅力の全てを語りうることが到底できない。

映画における素晴らしい瞬間が何度も訪れては過ぎ去っていく。

・怒って、水鉄砲を間男にぶちまけるシーン
・小さいキャンドルで影が揺らめきながらカメラがティルトアップし、キスを影で表現するシーン
・床に落ちた野菜を踏みしめるシーン
・顔の半分の陰影の美しさ
・辻くん別れ際のセリフを浮世さんが繰り返すシーン
・隣の家の壁が薄いことでレコードで流す第9が漏れ聞こえるシーン
・男をその気にさせるセリフの数々!

自分の映像記憶をフル回転させて目に焼き付けたいと強く思うシーンばかりだった。

これがテレビドラマが元だったとは、メーテレと深田晃司さん恐るべし・・・

4時間にも及ぶ人生最長の映画だったが、全く飽きることなく見入った。

休憩すら余計に感じるほど画面作りの強さに見入る。

誰が家に住んでいるか、居候しているかで、部屋の美術が変わり、セリフ以外のところで、映画は饒舌に語る。

引きの絵も常に計算され、柱や奥行きがリズムとなって目の前に現れる。

画面の緻密さ、脚本の面白さ、照明の職人芸、役者の演技これがアカデミー賞でなくて、何がアカデミー賞だ!日本の映画界!!!!

こんな傑作を放っておく気がしれない。
喜連川風連

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