広告代理店で50年前のアニメ『妖怪人間ベム』のコンプリートBOXの制作を担当していた康介。
その過程で『妖怪人間ベム』のもう一つの幻の最終回のフィルムを見つけた康介はその衝撃的な内容に愕然とし、精神の均衡を崩してゆく。
一方その頃、とある女子高に“百合ヶ崎ベラ”と名乗る少女が転校してくる…というお話し。
子供の頃に大好きだった『妖怪人間ベム』がモチーフの作品!
リアタイ世代ではありませんが、再放送をよく観ていて、幼稚園の頃は妖怪人間ベムのハンカチを大事にしていた事を今でも覚えています。
50年も前のアニメですが意外とその内容はヘビーで、妖怪人間として産み落とされながらも人間に憧れ、いつか人間になる事を強く願いながら旅をする3人の妖怪の物語り。
しかし彼らはその旅の中で人間の弱さや醜さを知り、守ろうとする人間に裏切られ続けるという悲しい物語り。
人間はとても弱い生き物であり、それと同時に強くあろうとする生き物でもあります。
でも“強さ”ってなんだろう?
それは暴力を伴った力の事なのか?
何者にも従わない心の事なのか?
何も隠さず思いのままに生きる精神の事なのか?
沢山の種類の強さがありますが、間違った“強さ”はただの“バケモノ”のそれなんじゃないでしょうか?
子供心に、ベム達は人間の姿をし、人間より強い力を持っているのにどうしてそんなに人間になりたがるのだろう?と疑問に思っていたのですが、彼らは自分たちの持つ力を“バケモノ”としての“強さ”だと思っていたのかもしれません。
でも彼らの本当の強さは、何度裏切られても憧れ信じた人間を守ろうとするその心にあったんじゃないかと、今は思うのです。