かおり

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のかおりのレビュー・感想・評価

3.7
サッチャーの功績と苦悩を振り返る話なんだけど、観終わってみて真っ先にサッチャーの夫デニスのことがもっと知りたいと思った。ある意味この映画はデニスの物語である。

夫に先立たれた元英国首相の妻は、なかなか夫の遺品整理ができない。幻覚として始終マーガレットのそばに現れ、自由で至極的を射たことをマイペースにしゃべり続けるデニス。
うるさい、消えてと言いつつ幻覚の夫が現れないと不安に駆られる。
ついに別れを受け入れ悲しみと向き合った後のマーガレット(メリルストリープ)のなんとも美しい素敵な笑顔。

サッチャーの夫がデニスだったのではなく、デニスの妻マーガレットがサッチャー首相であったのだ。
という感じで描かれた秀作だと思う。

その当時夫や子供たちに理解してもらうことは難しかっただろうが、政治にハマりすぎて家族のことなんか何も考えてないように見えた時期でさえ、マーガレットの心には常に家族がいた、と主張する彼女のセリフは本心だと思う。

それと、生身の人間が一国の首相を務められる期間には必ず限りがあって然るべきなのだと思う。
かおり

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