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風が吹けばのBigsのネタバレレビュー・内容・結末

風が吹けば(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

第21回 東京フィルメックス コンペティション作品 アルメニア/フランス/ベルギー
オンライン上映にて。


全体的に見せ場や派手さとは距離を置く。
しかし所々、スナイパーに撃たれて燃えた車や撃たれた人の顔の傷から戦争の傷跡が見える。
一度壊滅させられたが今はもう再生した都市。
空港近くは貧しく暮らす者、司令官のように振る舞う男、水を売ってまわる少年。

長きにわたる不遇。所長の祖父の代から戦争がある。90年代には空港閉鎖となる戦争があった。
フランスから来た監査員。はじめは外からの目線で監査するが徐々に地元の人々と交流し、親交を深め空港査定に親身に対応する。ただ、知った気になってもも、その複雑さは全くわかっていなかった。
「国境で何を見たかった?有刺鉄線?この監査で空港が開かれると思った?もっと複雑だ」という言葉。

全体的に低体温だから終盤の爆発は驚いた。それを目の当たりにし、全く動けなくなる主人公と近い気持ちになる。
ラストの切れ味の良さ。少年目線で飛行機を離陸させるファンタジー。

閉鎖された空港で、いつでも再開できるように働く人々。一人一人のキャラクターもさりげなく描く。掃除のおばさんが面白い。

余所者の主人公がその土地の人々と親交を深めるが、実情は全くわかっておらず、失意のままに物語が終わるという点で、『アラビアのロレンス』を思い出した。
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