KnightsofOdessa

Ibrahim(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

Ibrahim(原題)(2020年製作の映画)
2.5
[イブラヒム、大志を抱く] 50点

カンヌ・レーベル選出作品。俳優サミール・ゲスミによる初監督作品。題名"イブラヒム"は主人公の名前であり、監督ゲスミはその父親アーメッドを演じている。イブラヒム青年はサッカー大好きな高校生で、郊外の住宅地で一緒に暮らす父親との関係はそこまで良好とは言えない。そんな中、イブラヒムは悪友アシールと万引したことで逮捕されて、父親に保釈金として多額の借金を背負わすことになる。件の万引のシーンは、ウィンドウ越しにアシールが指示出し→頭を抱える長回しで失敗を表現するなど、意図的に"隠れる/隠す"シーンも多く、父親から隠れて金をかき集めるイブラヒムのメタファーかと思えば、プールのロッカーの電子キーを"1234"で明けてみたり(情報教育上大変よろしい)、サッカー仲間の脱いだズボンのポケットをまさぐったりなど直接的な映像も含まれているので特に関連はないのか。親子の衝突やそれぞれの葛藤よりこれら金をかき集めるシーンを優先しているので(内的な葛藤よりも映像にはしやすいんだろうけど)、短尺なのに間延びした印象を残すが、所々挿入される省略とかは(それによって)印象的になっている。

フランス映画に欠かせないバイプレイヤーとなりつつあるルアナ・バイラミが本作品にも登場している。イブラヒムの想い人であり、彼女との交流がイブラヒムの寄る辺なき凍てつく心を解きほぐしていくわけだが、これが本作品を湿っぽくなくしている。
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