シノ

アンモナイトの目覚めのシノのネタバレレビュー・内容・結末

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

静かで美しい映画でした。セリフもBGMもかなり少ない、想像の余地のある間がたっぷり取られていて主演二人の演技も本当に素晴らしかった。

メアリーの偏屈さが出た眉間、働き続けてきた手と指、美しく屈託のないシャーロットへの疎ましさから段々とどうしようもなく惹かれる羨望に変わっていく強い目線。
シャーロットの最初の陰気な目線(鬱病に対する理解が1840年代にどれだけあったろうと思うとかなり危ない状態だったと思う)、看病されてから心を許し見つめるたびに優しく微笑む顔、地位や富を持っている者だからこその無神経な部分。
その相反する二人がどうしてあんなに惹かれあったのか本当の意味ではわからないけど。

観終わったあとにメアリーが実在した人物という事を知りました、実際のメアリーが同性愛者(またはバイセクシャル)だったという記述は特になく、だとしたら性描写を入れずシスターフッド的展開だけでも充分成り立ったのでは?と思うところもあった。
ただでさえ時代背景的に女の立場は低く自らの手柄を葬られてしまう辛さがあるので、もっと尊厳というか立場を取り戻していく映画だと思ったので驚きました。全然それは話の中心じゃなかったな。完全にこれが創作だったらもう少し見方は変わっていたかもしれません。
でも史実をどこまで脚色していいものか?は難しいですね…。

寒々しくて田舎で貧困で、そんな中での一瞬の煌めきだから奇跡的に心が通いあって良かったのかなと思うと誰も悪くないんですが、二人は年齢も離れているだろうし(設定はわからないけど倍くらい違ってもおかしくないかも)あのあとどうなったかって、手放しのハッピーエンドではないだろうなと思えるところが辛い。

蛇足ですが、固定カメラでも良さそうな所も一貫して手持ちでやってて細かなブレがずっとあったのは意図したものなのかな?三半規管が雑魚なので少し酔いました。
シノ

シノ