はい

アンモナイトの目覚めのはいのレビュー・感想・評価

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)
4.0
「タイタニック」でコルセットを締められていた女性が、今作ではその束縛を脱ぎ捨て、さらには愛する者のコルセットをほどく。ケイトウィンスレットという役者の佇まいに見惚れる。
作品としては地味な印象だが、それも良い。

本来2人の間に横たわる"階級差"という弊害は、所詮男性が作った虚像とも言わんばかりに、2人だけの空間において無効化される。しかし対等で美しく思えたその関係も、片方が元の"社会"へ戻ってしまうことで容易に綻ぶ。「燃える女の肖像」とも重なるプロットである。今作のラスト、2人の目線の合致には未来への萌芽を予感させて、これまた美しい。

歴史上で無いことにされてきたクィアな関係を掘り起こす、確かに「アンモナイトの目覚め」と言うに的確な作品だった。
はい

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