カタパルトスープレックス

ナディア、バタフライのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

ナディア、バタフライ(2020年製作の映画)
3.3
偶然が生み出したもう一つの東京オリンピック2020。もし、コロナ禍が起きなかったら。観客がいて、誰もマスクをつけていないオリンピック。オリンピックをやっている今だから体験できるシュールさ。MUBIで鑑賞。

ここで描かれるオリンピックはコロナ禍の影響で1年延期、無観客で行われることとなった実際のオリンピックが行われている現時点から観ると、とても不思議でシュールな光景となっています。もちろん、本作はそんな意図で作ったわけではないでしょう。だから、これは本作の制作時期とのギャップから生まれが偶然。

本作は主人公のナディアの東京オリンピックでの最終競技からカナダへと帰るまでの短い期間の心の揺れを描いた作品です。ナディアを演じるカトリーヌ・サヴァールは実際のオリンピアンで銅メダリスト。だから、本作品で見せるバタフライはガチ。演技では出せない迫力がある故に、本作のシュールさは際立ってきます。

競技が終わってから選手村で打ち上げ、アフターパーティーでのハメ外し。ああ、本当だったらこんな感じだったんだろうな。『たけのこの山』やカルビーの『ポテトチップス』を頬張る選手たち。おそらく描こうとしているテーマやストーリーは全く別のところにあると思うのですが、今実際にオリンピックが開催している現在とのギャップがあまりにも大きくて、本作における「あったはずの東京オリンピック2020」がまぶしすぎるんですよ。