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運命の回り道/リンボーのkissenger800のレビュー・感想・評価

運命の回り道/リンボー(2020年製作の映画)
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難民申請結果が出るまでのジリジリと何もできず魂だけが削られていく期間、それがまさしく原題のいうlimboなんですが、聖書的な解釈から離れた現代語として解釈するほうがしっくりくるとはいえ、運命が回り道をしているわけではまったくないので、この邦題はさすがにダメでしょうね。
あなたのすぐ隣にも在る、いつ底に着くかわからないほど深くて暗い穴に落ちたらどんな気分になると思う? ぐらいの説明過剰タイトルにしたほうがまだよかったのでは(=どーだろー)。

Afghanistan: Best before 2003.
Sudan: Best before 2006.
Iraq: Best before 2005.

って台詞があるんですが(世界が特定の国の人間を難民として歓迎した期間はたしかにあった、しかしそれは全部過去の話だ。ぐらいの意味)アフガニスタン、シリア、ナイジェリア、ガーナからやって来た、難民申請中の男性陣が審査を待つ間の共同生活を描くのかと思いきや、途中でその構図が惜しげもなく放棄されるんですよ。
起承転結の転に当たる、そのパートの断面がスパッとしているところ、開栓直後の炭酸的な若さの特権なのか、それともこの監督のトレードマークなのか。次作を楽しみに待ちたいと思える良いフレッシュさでした。
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