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Summer of 85のMのレビュー・感想・評価

Summer of 85(2020年製作の映画)
4.7
恋愛ものって、主人公に感情移入してときめいたり悶えたりするというよりかは「恋愛」を通してどう人物が動いていくかを第三者視点で俯瞰できるのが醍醐味だと思うんだけど、本作ではそれを強く実感した。
刹那主義的なテーマと同じく100分という短い上映時間のなかで「生きるとはなにか(大小問わずどのような障壁を越えていくものなのか)」を突きつけられたし、同時に幻想的でもあって、夢と現の狭間にいるようだった。

とはいえ主人公アレクシの綴る言葉に共感する場面も多く、感情移入なしには見られなかった。
「これは君の物語ではない」とアレクシは冒頭で言うけれど、誰もが心当たりのある普遍的な感情を捉えていて、わたしにとっては自分の物語でもあったんだと思う。

自分のことを100%理解してくれる人はいないし、いくら大切な人でも所詮は他人で理解なんてできない。
だけどきっと誰かにとっても「自分の物語」だと思える作品なのでぜひ見てほしい。
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