青豆

Summer of 85の青豆のレビュー・感想・評価

Summer of 85(2020年製作の映画)
3.8
劇場で見逃してしまった夏の日から半年が経つ。窓の外の風景は移り変わり、木々の葉が落ち真っ白な雪に一面が覆われてしまっても、部屋に飾ったこの作品のフライヤーはいつまでも夏の光の中にあった。"マイ・プライベート・アイダホ"を想起させるような二人(もはや後ろの彼はリヴァー・フェニックスにしか見えない)の横顔からは、一点の翳りもなく幸福な気持ちが伝わってくる。
庭を占拠していた雪の塊もほぼ無くなった冬の終わりの日に、ようやくわたしはこの作品を観た。

長い間わたしがイメージを膨らませ続けていたせいもあるのか、二人が出会い、惹かれ合い、雲行きが怪しくなり、永遠の別れを迎えるまで、一つ一つの瞬間を味わう間もなく、瞬く間に過ぎ去ってしまったように感じた。喜びも痛みも含め、繊細な心の動きを感じ取れぬままに(もう少し尺を長く取るor描く内容を少なくして欲しかった)。
それでも若い二人の恋、夏の海と空の青さ、"墓の上で踊る"アレックスの気持ちは、美しいという言葉だけでは余りある。
2022年の夏は自分にとってどんなものになるんだろう、楽しくなるといいな。
このフライヤーはもうしばらく、飾っておくことにするよ。
青豆

青豆