Ark

Summer of 85のArkのレビュー・感想・評価

Summer of 85(2020年製作の映画)
4.8
「大切なのは、過去を乗り越えて新しい物語を生きること」

18歳のダヴィドと16歳のアレックスの6週間の物語。恋に落ちた2人は「先に死んだほうが、残されたほうの墓の上で踊る」という誓いを立てる。

ただのBLラブストーリーではなく、深いところを見ている作品。理想と現実、束の間の夢と喪失のギャップが対照的に描かれている。
目に見えるものが全てじゃないこと、見えないけれど大切なものは沢山あること、それをどう自分の中で守っていくか、貫いていくかということ。傷や痛みを乗り越えて新しい物語を生きること。これらが描かれている。

ダヴィドが本当にアレックスに飽きていたのか、元から本気じゃなかったのかどうかは本人にしか分からない。だけど彼と見つめ合い、心を通わせた経験は紛れもなく本物。それだけでも価値があると思う。

ダヴィドがやけに「人生は短い」と言ったり墓の誓いのときとかに、自分がもうすぐ死ぬことを知ってるかのような口ぶりなように感じた。バイクで飛ばして「スピードの彼方」を追いかけたり、色んな人を口説いてとっかえひっかえやったり、まるで生き急いでいるみたいだった。

作中、主人公の性格が何度か垣間見える。冒頭で「君の物語じゃない(「君は知らなくていい」と訳されているティザーも)」というセリフの意味を知りたい。

フランス語かな?結構聞き心地がよかった。

主人公の演技がなかなかに力が入っていた。全員素敵でした。
Ark

Ark