ねこみみ

アナザーラウンドのねこみみのネタバレレビュー・内容・結末

アナザーラウンド(2020年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

大人のための、人生の渋みを噛み締める映画。
「酸いと甘い」の「酸い」が濃い。キュッとしてて、一人一人の人生のことを考えさせられる。
「酒は飲んでも呑まれるな」とか「酒はほどほどに」とか、伝えたいことはそんなテーマじゃないと思う。

映し方が手持ちカメラっぽい動きがあるのとか、映像がめっちゃ美しいのが印象的だった!

いい大人なっても無邪気に遊べる友達4人の集まりがなんだかとても羨ましい。誕生日祝いで集まったはずなのに、浮かない雰囲気のマーティンの様子を決して流さず、「なんかあったのか」とグイっと踏み込む関係性が本当に素敵だと思った。

大人になるといい意味でも悪い意味でも「我慢」を覚えてしまうので、それを少し解放してくれるスイッチがこの映画では「血中アルコール度数0.05%」だっただけ。きっとアルコールに代わるスイッチは誰にもあるはず。

教師4人が、客観的に見れば「完全にNG」な飲酒勤務をし始めちゃうあたり、許せない人は許せないだろうな。笑(かく言う私も実際にそんなことあったら絶対許しません)
けど教師なんてきっと我慢の連続で、そんな教師4人が少しのアルコールで解放される様は面白かった。
アルコール度数上げていく判断は不安症の私には不安しかなくて「だめだめ〜!!そのくらいでやめときな〜!!」と心の中で叫びながら見ていた😂

心理学の話、歴史上の偉人の話、過去の天才音楽家の話など、教師らしいテーマを参考にしながら、実際に自分たちが実験台になって論文の執筆を楽しんじゃうあたりがめっちゃ好き。たのしそう〜。笑
でもやってることはただの飲酒っていう。笑

"点火"しちゃったところからが大きな失敗なわけだけど、人間失敗しないとわかんないことがあるので、彼らはこれで大きな学びを得たのだろう。
1人の代償が大きすぎるし、「だからよかった」って話じゃないんだけど。
メガネ坊が握った手と、葬儀に参列していたときの顔が忘れられない。彼はきっとシュートを打たせてくれた監督のことをいつまでも忘れないだろうな。

あるゆることをセーブしながら生きている大人4人が、ブレーキ外して一気に人生を加速したらそれぞれの我慢してたものが解き放たれて一瞬めちゃくちゃ楽しくなったけど次の瞬間大事故起こして大反省。
でもこれがなかったら一生ブレーキかけながら生きてたのか?と思うとどっちが良かったんだかわからない。

人生は一度きり。
ねこみみ

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