アルコール依存についての説教臭い話かと思いきや、全然違いました。
飲まなきゃやってられない程の苦痛や不安、無限に広がる虚無に潰されそうになりながら、それでも生きていかなければならない、という等身大の姿をねぎらい、祝う映画です。
アルコールの助けを借りて成功を掴もうとする4人の教師の思惑が崩れ去るのは当然ですが、逆に立ちはだかる障壁を酒を飲んで回避してしまう場面があるところが本作の意外性だと思います。
「お酒は飲み方に気をつけて」というのはまったくその通りですが、ガチガチの道徳で追い込むのではなく、人生を上手に乗り切る手段を見つけることが何より重要なんだと親身に心の痛みに寄りそう優しさが沁みる。
人間は弱く愚かだと認めることは、とても重要だと思います。それはこの生きづらい世の中をどうにか生きていくための一歩かもしれません。
余談ですがメガネっ子のサッカー少年が可愛かった。コーチの手をキュッと握る姿が愛くるしい。