人は適度にアルコールを摂取していた方が、仕事も捗って人生ハッピーなんじゃねーかっていう作品。
その、「適度」っていうのが難しいんだよ!!
冴えない高校教師マーティン(マッツ・ミケルセン)とその同僚3人は、ノルウェー人哲学者の「血中アルコール濃度0.05%に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」という理論を証明する為、自ら被験体となって実験を始める事に—— 。
他人事だと思えない作品。
身につまされるとは正にこの事。
僕のお酒にまつわる失敗談は後述する事にして、揃いも揃って教師でありながら、酒に溺れていくダメンズ4人組。
実験開始当初の滑り出しは良かった。
朝から酒を飲み続け、常に酔った状態に。
冴え渡る思考、饒舌に回る舌。
生徒達が退屈そうにしていた授業も、全員参加型の楽しい授業へと早変わり。
妻との折り合いも悪かったマーティンは、家庭での振る舞いも変わっていく。
血中アルコール濃度0.05%とは、ワインで換算するとグラス1、2杯程度。各自人知れず仕込んでおいた酒を口に含み、実験結果は上々に見えたが…。
段々と増えていく酒量。
周りから見ても明らかに酩酊状態に陥る者も。
月並みな言い方だけど、
「酒は飲んでも飲まれるな」。
じゃ、この作品が描いているのは、酒を害悪として、禁酒を促すものかと言えばそうでもない。
中年期に差し掛かり、其々が抱える人生の葛藤や挫折。アルコール摂取量に関する実験という大義を得た彼らが成そうとした事は、人生の解放。
今回はアルコールだったけれど、
きっかけは何だっていい。
どん詰まりになった人生で
リミッターを外し、軽やかに生きる事。
これはきっと、お酒を飲む人も飲まない人も、人類共通の"生きるヒント"。
生まれ変わるなら、ジャン・デュジャルダンと心に決めていたけど、マッツに生まれ変わるのもアリです、神様来世は何卒宜しくお願いします。
あんな男前であの八重歯は反則級。
しかも今回は冴えない役。
もー。マッツ!!
しかしだ。
醜い幼虫は、やがて蛹となり、蝶になる。
アルコールの摂取量と共に、
軽やかに変わっていくマーティン。
ラストシーンのダンスに、全ての感情を持っていかれる。美しく舞い踊るマッツ。
これは、劇場で"手はお膝"で観るのもいいけど、自宅で自分もほろ酔い気分で観るのが良き。
ラストシーンは何せ何杯でもおかわりしたくなる美しさ。
監督は"偽りなき者"でもマッツとタッグを組んだ、トマス・ヴィンターベア。
お酒は怖いよね。
僕は基本的に飲み会の間はなんぼ飲んでも平気だけど、電車に乗って帰るとなったら寝過ごしちゃうタイプ。
終電で1駅寝過ごして急いで降りたら、我が身は無事でもリュックを電車に忘れたり。
3駅寝過ごして、一路我が家を目指すも、1時間彷徨い歩いて、結局降りた駅に戻ってきたり。
市を2つ程越境した事もあったっけ。
最近でいえば、平日は飲まないし、16時間断食(12kg痩せました)で、夜21:00以降の飲食はしないけど、余計にお酒に弱くなって酒癖が悪くなる始末。
今日もビール、酎ハイ、500mlのワイン1本。
ご馳走様でした。