要

アナザーラウンドの要のレビュー・感想・評価

アナザーラウンド(2020年製作の映画)
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くたびれた中年男性の主人公たちが再び人生を謳歌するまでの物語。「血中アルコール濃度を一定に保つと全て上手くいく説、実際にやってみた」アルコールの光と影。

デンマークの文化や風土ってあんまり馴染みがないので新鮮!
不安や絶望について解いた自国の哲学者キルケゴールの思想をエッセンス的に落としつつ、人生に行き詰まった時どう対処すべきかを示唆する教訓的な一面も感じた。

家族のすれ違いなど静かにつらい部分も多いが最後は盛り上がるし清々しく、気持ちよく見終えた。

・タイトル
DRUK(デンマーク語で大量飲酒のことらしい)をAnother Roundって英題つけるの洒落てる〜。英語で「(お酒を)もう一杯」の意味があるって知って膝を打つ…

・クライマックスがいい
ダンスの伏線回収&自己解放した主人公が最高なのでそれだけのために見る価値があった。老いも若きもマッツにメロメロになること違いなし!
作品を通して、フレッシュな若者と人生にくたびれ惰性で生きる中年が対比的に描かれているけど、それが一気に融和する瞬間でもある。年齢なんて関係ない、同じ阿呆なら踊ろうぜ人生を。

・音の演出が素敵
注ぐ、カクテルを作る、氷とグラスが触れ合う、飲み干す、などのお酒に纏わる音が美しかった。
各人がアルコールで"ゾーン"に入った時にクラシックがかかるのも好き。
若者を象徴する曲はデンマークのバンドだそう、おじさんたちのテーマはゆったりしたR&B。

・アルコール依存
仲間の1人が見舞われる悲劇から読み取れるのは不安や絶望を感じた時、その解決を他者(何か)に委ねてはいけないということなのでは。
監督の作意としてはアルコールの負の側面を描写しているに過ぎないだろうけど、私はそう感じた。本作の「アルコール」があらゆる依存対象に置き換えられると思うから。
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