よふかし

アナザーラウンドのよふかしのネタバレレビュー・内容・結末

アナザーラウンド(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「血中アルコール濃度を0.05%に保つと仕事の効率が上がり人生が上手くいく」なる言葉を証明すべく、高校教師のおじさん4人が昼間っからアルコールを摂取することによって、なんとかこのもやもやした現状からくぐり抜けたいと奮闘する。

ほろ酔いで仕事している事がバレて問題になりかける描写や飲み過ぎで家族の信頼を失うシーンはあるものの、主人公マーティンが職を失ったり家族との関係が完全に断たれてしまったりといった決定的なシーンはないまま終わる。(ラストで大きな不幸はあるのだが…)
それは、主要メンバー4人がこの言説を心から信じているわけではなく、ただ現実逃避の言い訳を見つけてすがりついているだけで本人達もそれを自覚しているような演出に見えた。
漠然とこびりつく不安、夢の中みたいな飲酒シーン、大きな悲しみを無理矢理塗り潰すようなラストのダンス…
直視するのが辛い現実からアルコールに助けを借りて目を背けている事を分かって敢えて美しい部分をメインに切り取っているような感じがしたのは、私も昼間っから飲みながら観たからだろうか…

歳を重ねてもバカやれる酒飲み仲間がいるのは素晴らしい。
何よりそこに酒があろうがなかろうが、それぞれに家庭があってもなくてもいつものメンバーで誕生日パーティー開催したり、ふとした涙に大丈夫気にすんなよと言い合えたり、同じ職場の仕事仲間としても長年の友人としても付き合えたり、いざという時は家まで送って身の回りと飼い犬の面倒見たり、そういうことが当たり前の様に出来る友達がいるという事が、何より尊く自分も大切にしたいと思った。
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