ひれんじゃく

アナザーラウンドのひれんじゃくのレビュー・感想・評価

アナザーラウンド(2020年製作の映画)
4.0
終戦の日や御巣鷹山の事故の日やらで落ち込むことが多かったので、心機一転マッツが酒をかっくらって踊り舞う楽しい映画を摂取して元気になろうと観たら強烈な張り手を食らってぶっ倒れた。甘ったれた考えですみませんでした。以下すこしネタバレ。























途中で挟まるキルケゴールの言葉がダメなおじさんたちにも私にも突き刺さるし、卒業を控えた生徒と共に成長していく姿がうまく重なり合ってとてもよかった。
最初はおふざけかつ変わり映えのしない、進展のないつまらない日々に対する焦りとか苛立ちから始めた計画だけど、それが一回人生を好転させてからの蝕むような存在となり、皆地の底に落ち込み。そこからの上昇がわかっていても気持ちがいい。

人生って嫌なもので、楽で楽しいと思って飛びついたことが逆に人生を破壊するようなことだったりして、見事に劇中のおじさんたちはそれにハマってしまい、大きな失敗を通してそれを知る。この作品ではお酒っていう分かりやすい指標だったけど、それに準ずるものは山ほど転がっていそう。本当に嫌なものだなあ。

ダメな自分やダメな人生を自覚し向き合うことは時に非常な苦しみを伴うし、そうすることがついぞできなかった人もいたわけだけど、その苦痛を乗り越えた先には晴れやかな顔で踊るマッツがいたのでした。
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