百薬の長となるか、薬物の狂となるか。
デンマークでは飲酒に年齢制限がなく、16歳から酒を購入できるというから驚き。マーティンが教え子に「1週間の飲酒量は？」と訊くシーンがあるが、なるほどだ。
「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率が上がる」という理論を証明するため、同僚たちと実験を始めた教師を描く人生讃歌。家族や同僚、生徒といった登場人物それぞれに不安や悩みがあり、乗り越えて変わっていく彼らの姿にウォッカ…いや、ジンときた。
退屈で眠たくなる授業が、面白くて聞きたくなる授業へと好転する劇的ビフォーアフターがいいね。ただ、アフターがドーピング的なヤツでね、飲めば飲むほど強くなるジャッキー・チェンにはなれない。「意欲が湧く薬」と言ってラムネを食べるプラシーボ効果ならいいんだけどね。
シャンパン、ウォッカ、ワインにウイスキーと、何でも御座れで流し込む男たち。その中で、“世界最古のカクテル”とも言われているサゼラックという強烈なやつを作ってがぶ飲みするシーンが美味そうだった。飲んだくれのオッサンたちに不安しかなかったが。
ぬいぐるみがないと眠れないっていうのは可愛いが、酒がないと語れないっていうのは可愛くない。適度な量で好転しても、度が過ぎりゃ転落だ。ほどほどが一番って事だね。ラストのダンスが良かったな。
