ノラネコの呑んで観るシネマ

FLEE フリーのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

FLEE フリー(2021年製作の映画)
4.7
現在のコペンハーゲン、アフガニスタン難民の男性が、友人の監督に語った“FLEE=逃亡”の記憶。
クルド難民を描いた「マイスモールランド」では、彼らの安全のため、実際の難民をキャスティングすることを断念したが、本作は同様の理由でアニメーションで描かれるドキュメンタリー。
10代で戦乱を逃れ、家族と共に出国するも、そこからが大変。
敵は戦争だけじゃ無いんだな。
難民を食い物にする密航業者や腐敗した警察、硬直した社会システム。
彼らにとって、命の危機はどこにもある。
しかも主人公はゲイと言う、母国では絶対に生きられない事情も抱えている。
最初に彼らを受け入れたロシアが、今は難民を量産している皮肉。
冒頭の幼少期の生活は余りにも普通で、この世に絶対に変わらない日常などない、誰でも難民になり得るという事実を突き付けてくる。
故郷とは?と問われた主人公の「ずっと居られるところ」という答えが印象的。
バラバラになってもお互いを思いやる、主人公の家族が素敵で救われる。
もう終わっちゃったところも多いけど、是非「マイスモールランド」とあわせて鑑賞することをお勧めする。
難民にとって、本当の苦難とは何か?を追体験できるだろう。
ブログ記事:
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