リプリー

FLEE フリーのリプリーのレビュー・感想・評価

FLEE フリー(2021年製作の映画)
4.0
語弊のある言い方だが、大変面白かった(もちろんこの面白いは、トップ・ガン マーヴェリックを見て面白いというのとは訳が違う)。
実話ではあるが、アニメーションという手法を取ることで抽象化されるので、誰もがすんなりと感情移入できる。
序盤の「テイク・オン・ミー」を聞いて心掴まれた人も多いんじゃないだろうか。
さらに本作がすごいのはアニメーションの中でさらに抽象化される場面があり、そこでは文字通り人間扱いされていないため心えぐられる訳だが、これが実写ならそれこそ見るに耐えなかったはずで、現実を突きつけながらも万人に見やすいつくりになっている。
一方で時折挟まれる実写映像で現実感を演出する見事なバランス感覚。
あらゆる場所から終われ、人から虐げられた続けた人生。信用するのに時間がかかるという主人公の言葉、そしてそんな経験をしている人が今でも世の中に多くいるという現実(そして、日本は非常に難民に対して冷たい)はあまりに重い。