ねぎ地獄

FLEE フリーのねぎ地獄のレビュー・感想・評価

FLEE フリー(2021年製作の映画)
4.5
🎥あらすじ:
現在はデンマークで暮らすアフガニスタン出身で監督の友人であるアミン(仮名)。彼がなぜ、どのように故郷からデンマークへやってきたのか、これまで身の安全を守るため誰にも話すことができなかった過去がインタビュー形式で語られる、アニメーション・ドキュメンタリー作品。
アフガニスタンで家族と共に平穏に暮らしていたアミン。しかしある日父がタリバンに連行されたまま戻らず、家族で祖国から逃げることに。壮絶な亡命の過程、同性愛者の存在が認められない国でゲイとして生きていくこと、奪われた多くの自由。言葉にすることすらも辛い過去を抱えながらも、現在はノルウェーで学者として成功し、愛する人と共に未来を築いていくアミンの姿が描かれる。

本人や家族の安全を守るため、顔出しをせず、アニメーションで本人は出演。さらに音声は本人。過去の話を振り返るときは当時の映像が実写で織り交ぜられている。

✍️感想とその他メモ:
とにかく素晴らしい作品でした!!
戦争、難民、LGBTQ +など現在起こっているさまざまな問題に精通しています。

まずはこのアニメーションという手法は面白い。不思議なのは、アニメーションなのに音声が本物なのでちょっとした雑音も含めてとてもリアリティがあること。そんなリアリティに感謝する一方、あまりに残酷な状況はアニメーションであることで、根源にある惨たらしさや状況の深刻さは伝えながらも見せすぎないようになっている。
何よりアニメーションだからこそ語られたストーリー。とても意義のある表現方法。

全体としてはとても苦しい内容ではありますが、主人公が逃亡中に出会う人物との青春、後半の家族とのやりとり、恋人との未来を描く場面では、希望が見えてグッときました。

こうしたドラマ性もありながら、本作を語る上では避けて通れない難民問題。
世界全体で増え続ける難民。日本は残念ながらこの映画でいうところのロシアに近い立場。
これまで難民の人々が祖国でどんな悲惨な光景を見てきたのかというところを考えることはあったのですが、その過程の過酷さまで想像していませんでした。
本作でももちろん全てが語られているとは思いませんが、こうしたことがあるということを知ることができ本当に良かったです。
「FLEE」は英語で「逃げる、避難する」という意味。
逃げないことが美徳として語られることが多いですが、逃げることが自分を守ることになる。

監督との親密さがあるからこそ実現していると、随所随所で考えさせられました。
ねぎ地獄

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