このレビューはネタバレを含みます
ほんとに素晴らしかった。1人の人間のドキュメンタリーであるが、アニメーションで行う必然性があった。
インタビューの中で語られる凄惨な出来事は、眼を覆いたくなるほど痛々しく、無力感に苛まれる。
個人的にもっとも辛かったエピソードは、黒髪の女性が警官から暴力を振るわれそうになるのを、止められなかったこと。無力で、罪に加担しているような後ろめたさを子供に植え付けさせる非道さ。きっと一生心に焼き付くのだろう。
会話の中で、主人公アミンが自らを客観視し、心の整理をつけ、癒されていく。インタビュアーの友人がすごく言葉を選び、信頼を勝ち取っているからこそではあるが、語ることによって癒されていく、一種の精神分析を目の当たりにしているようであった。物語としても、事実としても、最後にアミンがhomeを見つけられたのが、とても幸福に思った。
匿名性を保ちつつ、参考の映像のみに頼らず、リアリティを持ってドキュメンタリーを描く方法として、アニメーションが有用であるということをこの作品は示したと思う。