登場人物の安全を守るためという理由からアニメーションという手法をとったという事だが、必要に迫られて作られたアニメーション映画はこれが初めてではないだろうか。
その縛りが良い方に出て、実写では味わえないエンタメ性も加味した素晴らしいドキュメンタリーとなっている。
ジャパニメーションなどを見慣れた目にはぎこちない動きや、平面的なキャラクターがもどかしいのだが、それを味方につけて、過酷な人生を綺麗なカラーとファンタスティックな映像で描いた監督のセンスは素晴らしい。
テーマも明確で訴えたいことがダイレクトに伝わるのも、変に高尚を気取っていなくて好感が持てる。
新しい分野を開いたような作品なのだが、普遍性は望めないだろう。
同じ手法で作られたとしてもこの味は出ないと思われる。奇跡的に縛りがプラスに働いた稀な作品と言えるだろう。
余談。
今作のぎこちない絵柄は、作品によく合っていて良かったのだが、もし実写だったら・・・・と脳内変換してみると、かなり見るのが辛い作品となったのが想像できる。
個人的には今作の絵は良いのだが、ドロタ・コビエラ監督とヒュー・ウェルチマン監督のアニメ伝記「ゴッホ 最期の手紙」の油絵の手法を使ったら、また違った感動が味わえたかな？なんて、贅沢なことを考えてしまった。笑
