マリーヌは2020年の1月に『La femme, la vie, la liberté (The Women, the Life, the Freedom)』というレイラについてまとめた本を出版している。そちらは未読だが、どうも本作品は執筆した本の特典DVDのような立ち位置に見えてしまう。レイラの仕事/日常風景、ラッカの復興風景、戦時下のラッカ、レイラへのインタビュー(過去や未来への思い)など全部が過不足なく綺麗にまとまっているのだが、上記の踏み込まない姿勢と相まって、ぶつ切れの中途半端な印象を受けるのだ。マリーヌにもレイラにも目的があるのに、映画がどちらとも目的を共有しないせいで、何がしたいのかよく分からない。勿体なさすぎる。 エンドロール中に出版された本をマリーヌ本人がラッカまでレイラに届けに行ったついでに、1年前に取材したときに撮影した映像との比較がされていた。ラッカの9日間というテーマから外れるので本編で使う必要はないが、エンドロールに使うには贅沢すぎる映像だった。