のっち

セヴェンヌ山脈のアントワネットののっちのレビュー・感想・評価

4.0
主役はロバ

5年生の担当をしている女教師のアントワネットはアリスの父親ウラジミールと不倫関係にある。ヴァカンスを過ごす予定だったが、妻子と旅行に行くと突然言われ、彼を追いかけてセヴァンヌ山脈でロバの旅を予約する…

奇しくも『みんなのヴァカンス』同様、交際相手のヴァカンスにサプライズ訪問する映画。ここから学べるのは「ヴァカンスを邪魔するとロクでもないことになる。でも愛は実在する」ということ。示し合わせたようなオチだけど、どちらもロメールに影響を受けているのだから納得でもある。

オープニングは発表会、黒のTシャツを着た生徒に目を瞑らせて後ろで派手なドレスに着替えるアントワネット。父兄の前で妻子持ちの男に恋する女の歌を合唱するクラス。
この時点で、何もかもズレていて違和感がシュールな笑いを生む。いきなり予約した山登りも、デニムの短パンとキャリーケースという場違いな格好。こんなアントワネットがパトリック(ロバ)と気持ちを交わしていくのは、ヴァカンスと旅の魔法。
動物たちに囲まれる野宿の朝、颯爽と現れる黒馬に乗った女性。彼女の場違いさが霞むくらいのシームレスに現れる非日常に、獣医やバイカーも現れて旅行を彩る。

個人的にもうすぐヴァカンスなので、思いっきり楽しみたいなと思える映画でした。
のっち

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