あお

人数の町のあおのレビュー・感想・評価

人数の町(2020年製作の映画)
3.4
SF的だがとても現実的で、世間のいろいろな“数”や裏社会について考えさせられる。切れ味鋭い場面転換の多用が心地良い。1幕が蒼山編、2幕が紅子編といった構成が、作品を広く深くしたのではないか(両者を混ぜ込んで進めると、だいぶ薄い話になっていた気がする)。逃亡シーンは地味だけどかなりドキドキした。

主人公・蒼山のキャラクター設定がどうもイマイチ…中村倫也によってなんとか一貫性を保っていたけど、借金まみれのダメ人間だったわりに常識的で正義感があり(でも紅子ほどは無い)、紅子に惹かれる過程も急。
海のシーンでなぜ例の音楽が流れたのか(蒼山の混乱だろうか)、最後どういう経緯で蒼山があの立場になったのか、もう少し推測の余地がほしかった。

立花恵理さん、この作品で女優デビューだったようですが、素晴らしかった(既存のいろんな女優と被るけど…)。
紅子の芯の強さは、この年齢界隈だと石橋静河さんにしか出せない気がする。既に唯一無二の女優さんですね。
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