QTaka

人数の町のQTakaのレビュー・感想・評価

人数の町(2020年製作の映画)
3.5
人が、”人数”としてのみ存在を許される。
それは、恐ろしく現実的な事じゃないか。
ホントにこれはフィクションなのか?
.
黄色いツナギの謎の男。
借金取りに追われる男。
謎の男に救われ、誘いに乗る。
人が集められる。
それぞれの境遇から逃れてくる。
居場所を失った人々の列。
人々が吸い込まれて行く建物。
かつてのリゾートホテルか。
.
有り得る事だろう(?)。
現実的な話だろう(?)。
どこかに有るだろう(?)。
誰かが、そこに居るのだろう(?)。
だから、ココから先の話に興味が涌く。
何処へ連れて行かれるのだろう…
その目的は…
.
ミステリーと言っても、怖くは無い。
血が流れるわけでも無いし、脅かされる事も無い。
ただ、不安になる。
そして、不審になる。
さらに、ちょっとだけ、その町に憧れる…
衣食住が揃った場所、それだけのことなのだが、それが得難いものになりつつある。
現実が、ディストピア化しつつある事を実感させられる。
なんだか、不思議なミステリーだ。
.
”人数”とは、これまた奇妙な言葉だ。
”人”が存在する事を意味しながら、”数”でしかない事を示している。
それは、人であって、人では無い存在。
数として、カウントされるだけの存在。
世の中は、”数”で動いている。
ただ、その数の重要性は、自分の重要性では無く、誰かの価値の一部であって、それは数としてまとまった時に意味を持つ。
一人の人間は、意味も無く、存在価値も無い。
もし、自分の姿をあの廃屋の中に見つけたなら、それはヤバい事だ。
QTaka

QTaka