しゃりあ

スパイの妻のしゃりあのレビュー・感想・評価

スパイの妻(2020年製作の映画)
4.5
かなり演劇的だった
照明はスポットライト的な使い方が多いし、長台詞と長回しのシーンでは、少ないカメラ移動ながら、演者の立ち位置が移り変わって関係性が示され画面が持続する演出が結構ある
かなり主演の2人の演技力を信頼しきっていないとできない映画なので、その辺はマジですごいと思う

いつもの後半でブッパしたりトンデモ化する黒沢清節は、ハッピーアワーコンビによってかなり抑えられている感じがあるが、正直、話が逆にコンパクトになったり、台詞的暗示や台本構造の物語になっている感も否めなかった

ただ今回はファンにはたまらない黒沢演出ネタが散りばめられていて、亡霊のようにボーッと立っている"敵"とか、外が見えねえバスとか、めちゃあからさまな照明とか結構乱発されていて、かなり分かりやすい映画になっていて良かった

これからは黒沢清入門にまず勧めるとしたらこれになるのかな

締め方は蛇足がいくつかあるように思うけど、あそこはマジでお見事です